コーラ片手に音楽を

好きな服、好きな音楽、好きな映画と。

JOSEPH CHEANEYのWilfred? ―試される”消費力”―

どうも。ながたつです。

時間を見つけては古着屋を訪ね歩き、欲しいアイテムを安く買う生活を続けて10年近く経ちました。時の流れは早いものです。相変わらずそんな生活を続けていたら、最近、古着屋で昔から欲しかった革靴を手に入れたので、思いの丈をぶつけます笑

というのも、その靴を買ってから高揚感で毎日落ち着かないんです。そこで、この気持ちを沈静させるために文章にまとめます笑

JOSEPH CHEANEYのセミブローグ

この靴の謎

今回買った靴は、JOSEPH CHEANEYのセミブローグ。立川の古着屋にて破格の値段で買いました。長いこと憧れた靴とのいい出会い…だったのですが、少し不思議な靴なので順を追ってお話します。その前に靴を見てやってくださいな。

f:id:naga-tatsu:20200209145649j:image

これは手入れした後の写真です。非常にカッコいい…さて、この靴の謎を追いましょう。

まず、JOSEPH CHEANEYのセミブローグといえば、現在Wilfredというモデルが定番です。125ラスト*1で靴幅はFウィズ*2が現行品の主な特徴。ところが、僕が買った方はラストは同じでも、幅がEウィズという少し狭い幅です。この時点で不思議なのですが、もっと不思議なのが、型番の表記。一般的に、靴の内側にはサイズやモデル名などが書かれています。例えばWilfredの場合、靴の中に"Wilfred"と書かれています。しかし、僕の靴は"Wilfred"の代わりに"6793/13"という謎の番号が。

f:id:naga-tatsu:20200209145708j:image

一体どういうことだ…と思い、JOSEPH CHEANEYの輸入代理店であるBRITISH MADEさんを訪ねて、聞いてみました。すると、「サンプル品の可能性がある。」という回答が。そんなこともあるのかあと思いましたが、帰宅して調べてみると、こんな記事がありました。

www.british-made.jp

そう、ブランドは違えども、サンプル品の放出はたまにあるらしい。しかも、BRITISH MADEさんが直々に行なっていたとは。すると、この靴も世に出たのは無理ないです!それにしても面白い。ちなみに、靴幅に関してですが、以前はEウィズもあったそうです。現在は廃止して、Fウィズに変更したそうな。

シューツリーのはなし

ところで、この靴を買ってしばらくして、両親からこの靴のためのシューツリーをいただきました。僕は家族全員の革靴を手入れしているのですが、なんでもそのお礼ということ。自分の趣味に家族を巻き込んだだけなのに、本当にありがたいお話です。大切にします。

f:id:naga-tatsu:20200209145844j:image

上述したように、この靴は125ラストという木型を基に作られた靴です。これはその木型で作られた靴のためだけのツリーです。なんたる贅沢!永く履くに際して型くずれは大敵の1つですが、このシューツリーがそのシンデレラフィットで型くずれから守ってくれます。たかがシューツリー。されどシューツリー。

(ちなみに、先述したように靴本体はEウィズ、現行品やこのツリーはFウィズ。字面は不一致なのですが、店員さんに確かめたところ、革が馴染んだ古靴なら大丈夫とのことでした。実際、ツリーを入れても不安要素はありません。)

さて話を靴本体に戻すと、この靴は現行品であるWilfredの親玉にあたる可能性があります。言い換えると、これをベースに改良されて、Wilfredが完成したのかも。そう思うとロマンがありますし、こういう出会いを果たせるのが古着の面白さの1つとでも言えるのではないでしょうか。ですが、僕自身はこのままでいいのかな?と時々思い悩むことがあります。

古着とメーカーとお金

古着に関する僕の葛藤

古着屋というのは、言うまでもなく、誰かが手放したアイテムが並ぶところです。つまり、これを買ったところで、ブランドにはお金が入ってこない。冒頭で古着屋に通って10年といいましたが、これは厳しい言い方をすると、この10年間は古着屋さんを買い支えていても、好きなブランドは買い支えていません。自分が落としたお金は好きなブランドには入ってないわけです。

(勿論、新品で買ったこともありますよ。あと、この記事では古着屋を一切批判しません。本当にありがたいばかりです。あと、廃盤になったモデルが欲しいときは古着屋を頼む他ないですよね。)

「おトク」と経済

巷では、おトクな買い物術があまた紹介されており、それに助けられています。しかし、出ていくお金の多寡にこだわって、そのお金がどこにいくかは全く考えていませんでした。もしかしたら、その買い物術の中にはお金の流れにまで配慮がないかも分かりません。

物を作る生産者さんやそれを売る販売員の方にも生活があり、それを忘れてはいけませんよね。僕の知らないところで、1つのものを作ることに膨大な時間と手間をかけていることを今一度確かめなくては。無論、自分のお財布事情も鑑みたうえでの消費をすることは前提ですし、何より買い物は楽しまないと!

ここで言いたいことは、目線を変えることの大切さです。視点を移すと、新しく見えてくることも沢山あります。今回、古着というテーマを通して、生産から消費までのお金に関して、つまり、経済を考えるキッカケを掴むことができました。学校の授業や仕事だけでなく、趣味を通しても学ぶことができるんですね。むしろ、学校で生活に即した事例をあげてお金の授業とかやればいいのに笑

まとめ

世の中、何をするにもお金を避けて通ることはできません。だからといって守銭奴のように振る舞うことは論外であり、お金に対する正しい知識とそれに裏付けされた想像力を働かせることが大事になると思います。昨今、消費の多様化により、売り手は多くの苦労を強いられているでしょう。しかし、実は本当に試されているのは消費者の知識とモラルなのかもしれません。

お金を使う。これは浪費と投資に分けられると思います。言い換えると、ただお金を使うか、何かを得るための勉強代としてお金を使うかです。物を買うときには、後者を意識したいですし、そのためには、時に支出の多寡ばかりに拘ってはなりません。自分のささやかな生活と、それが社会に与える影響まで目線を拡げる思考こそが、投資への意識を涵養してくれると信じています。何事も考えに考えを重ねて向き合うことが大切。

終始偉そうことを言っておきながら、お金に余裕ができても、古着屋さんにお世話になるつもりです。だって楽しいんだもん。それに、そもそもお金に余裕ができる日なんざ来るのかなあ笑

*1:革靴は一般的に木型に革を沿わせて作ります。その時に用いる木型がラスト(Last)です。各ブランドは様々なラストを抱えており、このラストと自分の足との相性が履き心地を左右するといっても過言ではありません。

*2:靴のサイズを確かめる時に縦の長さは皆さん気にしますが、実は横幅も大切です。その横幅を表すのがウィズ(Width)と言います。A,B,C…と行くにつれて幅広に。最近の紳士靴の場合、E,Fウィズあたりをよく見かけますね。