コーラ片手に音楽を

好きな服、好きな音楽、好きな映画と。

映画『ロケットマン』を観て ―自伝的映画のむずかしさ―

どうも。ながたつです。

最近は音楽を聴きつつも、たまには映画でもと思い、先日『ロケットマン』を観ました。音楽が絡むとついつい手を伸ばしてしまうのは、もはや性。あいもかわらず、音楽にこだわっています。せっかく観たし、自分なりにレビューでもしてみようかと。

ネタバレはないようにしますが、ストーリーらしいストーリーもないので、あまり気にせずご覧ください。それでも、気になる方はこの記事を飛ばしていただき構いません。

あらすじ

f:id:naga-tatsu:20190905011635p:plain

音楽界の最高峰グラミー賞を5度受賞し、「ローリングストーン誌が選ぶ歴史上最も偉大なアーティスト 100組」にも選ばれ、「僕の歌は君の歌(Your Song)」や、「キャンドル・イン・ザ・ウィンド(Candle in the Wind)」、「愛を感じて(Can You Feelthe Love Tonight)」、そしてタイトルにもなっている「ロケットマン(Rocket Man)」など、シングルとアルバムの総売上は全世界で3億枚を越える伝説的ミュージシャン、シンガーソングライター“エルトン・ジョン”の半生を描いた話題のミュージカル超大作。

引用元:https://filmarks.com/movies/79916 

要するに、Elton Johnの半生を描いたミュージカル映画であるということ。現在に至るまでを振り返った作品ですね。去年、『ボヘミアン・ラプソディ』が日本でも話題になりましたが、正直二番煎じは否めない。というか、『ボヘミアン・ラプソディ』と同じ監督が指揮をとっており、Elton John本人も監修に携わっているそう*1。これは思い切ったな〜と思います笑

映画の感想

この映画を見て感じたことは主に3点。順を追って紹介します。

1.ミュージカルにしたのは…どうかな?

Elton Johnの半生は大きな成功もある一方でなかなか壮絶な裏側もあります。そのようなハードな物語をミュージカルとして表現することは往々にしてありますが、今回は自伝的に淡々と展開してもよかったように思います。なぜかといえば、Elton Johnのファンなんかは特に本人の歌っている声が聴きたいのではないでしょうか。BGMとして本人の歌がいいスパイスになると思うのです。(それが『ボヘミアン・ラプソディ』に引っ張られているのは否定しませんが。)僕は特別ファンというわけでも、ましてや詳しいわけでもないですが、やはり本人の声をしっかり聴きたかった…!

これは個人的な意見ですが、ミュージカルというのがどうも苦手なんです。『マンマ・ミーア』とか面白い映画もありますが、「いきなり歌うなよ!」ってついつい突っ込んでしまうんですよね。せっかく面白いのに、急に冷めちゃうんですよ。なぜか。役者の演技を堪能したい自分としては素直に展開してほしかったな。幼少期を描いたシーンで、家族との不仲な場面がありますが、家族みんな歌うんですよね。おいおい、それができるなら大丈夫だろう、って野暮なことを考えてしまうんです。

2.ラブシーンはなかなかスゴい

映画の途中、Elton Johnとマネージャーのベッドシーンがあるんですが、それがなかなか濃厚なんです…ラブシーンはいろんな映画でもありますし、昨今LGBTへの理解も浸透していることでしょう。それはいいのですが、あそこまで生々しいシーンがあると、びっくりしてしまうのがホンネ。

昔『モーリス』って映画を見た時に、男同士で川べりで乳繰りあうシーンがあり、なかなか堪えるものがあったのですが、それをはるかに凌駕しました。正直、昨今に媚びたなあと思ってしまいます。もう少しそのあたりを抑えてもテーマは伝わるし、ドッ直球で見せなくてもいいと思うんですよね。退廃的、刹那的なニュアンスは分かりますが、もう少し穏やかにしてほしいのが正直な感想。映画として盛り上がりがほしいのは分かりますが、個人的には、いかにも過激!みたいな表現は好みません。

ちなみに、父と観にいきましたが、帰り道にその話題になり、なんとなく気まずい時間が流れました。観に行く方はそのあたりお気をつけくださいませ。

3.少々同情を買いすぎかも?

成功の陰、というテーマはいろんな作品でありますが、この作品はそれを猛烈におしているような印象を受けました。「こんなにうまくいったけど、いいことばかりではなかったんだよ!」というところをかなり強調しています。『パイレーツ・ロック』や『マイ・ジェネレーション ロンドンをぶっとばせ!』という映画でも、栄華と暗部のコントラストを示していますが、それは1人に焦点をあてず、カルチャー全体、ひいては社会問題に繋がっているので面白いと感じやすいのです。

しかし、これを自伝的な映画でやってしまうと、少々クドい。あまりにもお涙頂戴みたいにしてしまうのはもったいない。社会問題に繋がっていないとはいいません。LGBTへの理解も今ほどではなかった時代背景を考えると、現代の特徴も分かりますし、そう単純ではないんだなと感じます。

また、ロックとドラッグについても、現代にも続く問題でありながら、当時はより顕著であったと思います。これも社会問題をほのめかすものとして捉えることもできますが、自伝的映画としてあそこまで示してしまうと、観客はそこまでつなげて考えるか、とお節介にも思ってしまうのです。ミュージカル映画にしたことに疑問を持つのは、この点にもつながると思います。(『ボヘミアン・ラプソディ』との差別化を図りたかったのかな?と思うとやむを得ないとも思いますが…)

やっぱスゴいよ、Elton John

かなり辛辣な感想を並べましたが、この映画を観て、僕はElton Johnが好きになりました。「テレビで聴いたことあるバラードを歌っている人ね〜」という安直な認識でしたが、骨太なロックも歌っており、ジャンルの広さもさることながら、ソングライティングはいうまでもなく天才。こんなにいい曲を作り続ける姿は才能とそれを活かす努力の結晶のほかなりません。このようなアーティストが今も活躍していることは嬉しいですし、これからもまだまだ活躍してほしいと思います。この映画をキッカケにいろんな曲を少しずつ聴いていますし、また1つ音楽の幅が拡がったことは嬉しく思います。

こんだけ言っておいて結局バラードかい!というツッコミ待ちでこの曲を笑


Elton John - Goodbye Yellow Brick Road (Live from Kiev)